マレーの欲求リストの進化版
マレーの欲求リストは、大別すると「臓器発生的欲求」と「心理発生的欲求」の2つがありますが、そのうち28種類あった「心理発生的欲求」を、更に細分化し59種類に拡大した日本人学者がいます。心理学者である「荻野七重」氏とイギリス文学者の「斎藤勇」氏です。11種類あった「臓器発生的欲求」と合わせると、合計で70種類の欲求に分類されたことになります。
マレーが提示した欲求と比較してみると、より日本人的な発想が散りばめられた、欲求リストに仕上がっているように思います。日本人だからこそ気づいた視点に、深く頷ける項目も多くあるのではないでしょうか。
優越支配に関する欲求 |
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自尊欲求 | 自分を認めて、自尊心が傷つかないようにしたい |
競争欲求 | 他人と争いたい |
優越欲求 | 他人よりも優れていることを証明したい |
攻撃欲求 | 武力を使って、相手を攻撃したい |
反発欲求 | やられたらやり返したい |
流行欲求 | 流行の先端のモノを手に入れたい |
自己顕示欲求 | 注目を集めて、みんなの評判になりたい |
指導欲求 | リーダーシップを発揮して、集団をまとめたい |
名誉欲求 | 社会的に名誉のある地位につきたい |
支配欲求 | 人に指示や命令をしたい |
権力欲求 | 社会で活躍できるような、地位と権力が欲しい |
情的支配に関する欲求 |
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愛情欲求 | 愛する人のために行動したい |
恋愛欲求 | 好きな人の望みを叶えて、その人から好かれたい |
愉楽欲求 | みんなと一緒にワイワイ騒ぎたい |
自由欲求 | 誰にも縛られることなく、自由な生活をしたい |
自己表現欲求 | 自分の個性をアピールしたい |
不満解消欲求 | ストレス解消のために、思い切り気分転換したい |
積極的活動に関する欲求 |
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達成欲求 | 自分に悪い点はないか反省したい |
内罰欲求 | 好きな人の望みを叶えて、その人から好かれたい |
自己成長欲求 | 自分自身を充実、成長させたい |
持続欲求 | 最後まで根気よく続けたい |
自己実現欲求 | 人生計画をしっかりたてて、日々努力したい |
知識欲求 | 勉強して知識を増やし、多くのことを学びたい |
自己主張欲求 | 自分が正しいと思ったことは主張したい |
批判欲求 | 人が悪いことをした時は、はっきりと指摘して正したい |
趣味欲求 | 生きがいのために、趣味を持ち続けたい |
感性欲求 | 美しいものを見たり聴いたりして、感動したい |
理解欲求 | モノゴトの因果関係を理解したい |
他者認知欲求 | 他人の性格やプライベートを知り、理解したい |
好奇欲求 | 新しいことや、珍しいことを経験したい |
関係形成に関する欲求 |
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秩序欲求 | 社会生活において、規則やルールを守りたい |
援助欲求 | 弱い人や困っている人の面倒をみたり、世話をしてあげたい |
集団貢献欲求 | 所属している集団のために、全力をつくしたい |
社会貢献欲求 | 住みよい社会を作るために貢献したい |
教授欲求 | 自分の得意分野について、先生として人に教えたい |
自己認知欲求 | 自分がどんな性格なのかを知り、理解したい |
承認欲求 | できるだけ多くの人から好かれたい |
自己開示欲求 | 親しい人に、自分のことを知ってほしい |
保身に関する欲求 |
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屈辱回避欲求 | 仲間と一緒に同じことをしたい |
同調欲求 | 弱い人や困っている人の面倒をみたり、世話をしてあげたい |
嫌悪回避欲求 | 人に嫌悪感を持たれたくない |
批判回避欲求 | 人から批判されることを避けたい |
服従欲求 | 上の人の指示に従って行動したい |
優位欲求 | 自分が優位であるために、自分よりも劣った人と仲良くしたい |
譲歩欲求 | 争いを避けるために譲りたい |
安心欲求 | 失敗しそうなことを避けて、安心な方を選びたい |
気楽欲求 | 無理をせずに、のんびりと人生を送りたい |
挑戦欲求 | 危険なことでも挑戦したい |
安全欲求 | 身に危険が生じるような、恐ろしいことを避けたい |
拒否欲求 | 嫌いな人とは付き合わないようにしたい |
金銭欲求 | お金を確保したい |
生活安定欲求 | 安定した生活を送りたい |
協調に関する欲求 |
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依存欲求 | 誰かに助けてもらいたい |
親和欲求 | 友達と交流を深めたい |
協力欲求 | 仕事や活動はみんなで分担して、協力し合いたい |
孤立欲求 | できるだけ一人でいたい |
恭順欲求 | 信頼できる指導者に従いたい |
自己規制欲求 | 規則正しい生活を送りたい |
迷惑回避欲求 | 人に迷惑をかけないようにしたい |
私たち人間はの原動力の源には必ず「欲求」があり、それらが人を突き動かすことで、
人は文明を築き、発明し、現代もなお進化し続けているのだと思います。
コンピューターやスマートフォンがない時代が、不便で不幸だったかと言われればそうとは言えないでしょう。
あることが当たり前になって初めて、私たちは不便を実感することができるのです。
ダヴィンチも、エジソンも、アインシュタインも、イノベーターと呼ばれる人々は、日常の中に潜むかすかな違和感に問題意識を向けることで、今ではなくてはならないと呼ばれる数々を生み出していきました。
あなたの中にある小さな欲求、違和感に気づくことは、いつか世の中を動かすビッグアイデアを生みだす種と言えるのではないでしょうか。
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